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Channel: 原始人の見聞
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「女髪結い(おんなかみゆい)」の始まり

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「女髪結い(おんなかみゆい)」の始まり
 江戸時代の延享元年(1744)の『百々囀』という随筆に「去ぬる戌年頃(寛保2年:1742)より芝居小屋の裏新道に中村富十郎の鬘附(かつらづけ)したる仙吉と申すもの住み、仙吉の娘に松と申すものありしが、古今の醜女(しこめ)にして年頃になりて縁もなく、生涯を埋れ木にすることと嘆き居たるに、この松は顔立の醜きに似合はぬ手業は器用にて、女の髪結ふこと別けて得手なりけるより、初めは誰れ彼れに頼まれ髪を結ひ遣り居たり。去年の夏頃からは富十郎の紋所矢車の印つきたる、幅四五寸に長さ二尺ばかりなる板看板を路地口に出し「御女中がたの髪ゆひ申し候」と書きしるしたり。近頃は女弟子二三人もおきて昼夜繁昌するをうらやみ、之れを真似する不心得ものも出て、堺町には髪結にて世過ぎするもの三人までふえ、地女にても我が手でわが髪を束ねるを恥ぢとする云々」とあり、既に女髪結の名が見られる。

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