「やきもち焼」の語源
男女の間に起こる嫉妬(しっと)の情を言う。昔から女の方が「やきもち焼」だと言われているが、心理学者のフロイドの説によれば、男の方が本質的にはやきもち焼だという。
焼き餅は火であぶられるとプーとふくれるところから、女のふくれっ面を連想して言うとする説もあるが、もともと「焼く」には嫉妬するという意味があるので、それに餅を付けて面白く言っただけである。
『芸界きくままの記』の中に、「やくとはだますことを花街にて言い始めた流言で、今手を焼いたなどという俗語もこれより転じたものか」とあるように、遊里では客をおだてて騙すことを「焼く」と言った。客をのぼせ上がらせていい気にさせ、最後に袖を振って騙すのだから、まさに客は遊女によって焼かれるわけである。
「やきもち焼くとて手を焼くな」とか「やきもち焼くなら狐色」と言った諺もある。