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Channel: 原始人の見聞
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「流行性感冒(りゅうこうせいかんぼう)」の始まり

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「流行性感冒(りゅうこうせいかんぼう)」の始まり
 風邪は昔からあったが、「感冒」の文字も古くから使われている。たとえば安土桃山時代の名医・曲直瀬道三(まなせどうさん)が書いた『医学天正記』の中に豊臣秀吉の診察のことをしるし「太閤相国秀吉公、大坂に於いて感冒、涕(なみだ)を流し、声は嗄()れ、口は乾き喉は痛む」とあり、この容体は現在の流行性感冒と同じであるのが面白い。
 流行性感冒が最初に現れたのは、ずっと後世のことで、明治24(1891)1月17日の『国民新聞』に「目下府下到る処インフルエンザ流行し、同病に罹る者多きが、該病の初めて流行せしは欧州にて昨年春流行し始め、数月ならずして早くも本邦に渡り多くの人を悩ませり、抑(そもそも)インフルエンザなる病名は、本邦にては流行感冒とも電光感冒とも訳して居れり、されば其伝染流行するも亦当然ならずやと或る医家の物語」とあるのが始まりである。
 なお、江戸時代の風邪薬としては、京都四条の元祖俵屋肥後掾から売り出された俵屋風邪薬、別名を「五積散(ごしゃくさん)」と言うのが盛んに用いられていたという。

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