「禁酒運動(きんしゅうんどう)」の始まり
飲酒を断つ事の難しさは今も昔も同じで、江戸時代の粋人・太田南畝が「わが禁酒破れ衣と成りにけり、さあさしてくれ、さあついでくれ」と言ったのも決して無理のない話である。また、山東京傳の『新板落話太郎花』に「「おぬしは酒止めたじゃないか」さればよ、願だてをして五年が間禁酒をした「そりゃ不自由であろう、なんと十年の禁酒にして、夜ばかり呑んだらよかろう」「それもよかろうが、いっそ二十年の禁酒にして昼夜のむべいか」」ともある。
その禁酒運動を公に行いだした人は、三重県の安藤太郎というクリスチャンが飲酒の弊害が多いのを痛感して明治23年(1890)3月に、日本禁酒同盟会を組織したのが始まりである。