Quantcast
Channel: 原始人の見聞
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1929

「伽羅油(きゃらあぶら)」の始まり

$
0
0
「伽羅油(きゃらあぶら)」の始まり
 鬢付け油に伽羅の香りを配合した髪油のことである。『落穂集』に「伽羅油は前髪立の児小姓は格別其の外は上下共に年若き男の髪に油付る事をば、なまぬるき儀にいたし候、その時代にもみあげの頬髭は槍持にもこれ有り候へども、まづは徒歩、若党、中間、小者類にあまたこれ有り候、其の輩蝋燭のながれをとき、松脂を加へ、伽羅の油と名づけ用ひ候、其の節も伽羅油入用候へば、薬種屋へ申しつかはし候」とある。
 次いで、『本朝世事談綺』によると、江戸時代の正保・慶安年間(16481652)に京都室町の「髭の久吉」という者が、これを売り始めた後に、三条の宇賀、縄手の五十嵐がこれを製造し、また江戸では芝の大好庵脊蟲右衛門が創製したという。これを販売していた化粧品店では常盤橋側両替町の下村山城が有名であった。
 それ以前は、胡麻の油に白檀・丁子などを浸して匂い油と称し、後れ髪につけるには亥及草(さねかつら)を用いたものである。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1929

Trending Articles