「遣手(やりて)」の語源
江戸時代の喜田川守貞が著した風俗考証書『守貞漫稿』の中に「俗に象牙の駒の香車を“やりて”と言えば、香車が別名を又“やりて”と云ふ。香車と云ふは花車と書くなり。花に廻るといふ心なり。然れども“くわしや”と云ふは響き悪しきとて、“かしや”と云ひかへたり」とあり、香車が遣手と呼ばれるようになったという。これは妓楼で遊女の世話や取り締まりをし、また全てを切り回す老女のこと(遣手婆:やりてばばあ)を指し、遊女にとっては一番の苦手である。
江戸時代の川柳では、欲が深くて意地が悪い憎まれ者の事になっている。