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Channel: 原始人の見聞
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「硝子箱の金魚(がらすばこのきんぎょ)」の始まり

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「硝子箱の金魚(がらすばこのきんぎょ)」の始まり
 硝子は江戸時代中期に舶来されたもので、その当時は非常に珍しく豪華な贅沢品とされていた。延宝年間頃の京都の奢侈(しゃし:度を超えた贅沢)だったことを書いた『明良洪範』に「石がけ茶屋などとて新たに普請結構し、河原表を見下ろし四壁を金緞子ではり、床をば天鵞絨(ビロード)をもって包み、天井には水晶の合天井にして水を湛へ、金銀の魚遊行す、障子は硝子をもって張立ければ」とあり、何とも豪勢な話である。
 それから90年後の明和年間の『五月雨草紙』には、田沼意次に取り入った千賀有道の事を記して「浜町にて二千坪程の屋敷を買ひ、家屋庭園善美を極め、夏月納涼の座敷は、天井へガラスを張り、其の中に金魚を蓄へたり」とあり、何時の時代にも成金根性は同じ事らしい。また同じ頃、筑後国久留米藩主有馬唯翁は邸内に硝子の浴槽をこしらへて、裸の侍女が入浴するのを観賞しながら素晴らしい金魚の美しさにヨダレをたらして満悦していたという、少し頭のいけない殿様もいた。

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