「編み笠(あみがさ)」の始まり
藁(わら)・菅(すげ:カヤツリグサ科スゲ属の草本)・藺草(イグサ)・竹などで編んだ笠のこと。平安時代から存在したが、江戸時代初期に大いに流行した。
一文字・玉縁(たまぶち)・都富士・おぼろ富士・不二颪(ふじおろし)・子女郎手・大編笠・伏編笠・熊谷笠・深編笠などの種類があったが、このうち男は大型のおぼろ富士を用い、女は塗り笠を付けていたが、江戸時代前期の万治年間頃(1658~1661)には美しい縁取りをした玉縁笠が非常に持て囃され、延宝年間(1673~1681)には虚無僧笠という深編笠が現れたが、天和・貞享年間(1681~1688)になって編み笠の類がまったくすたれ、代わって菅笠が一般の間で流行するようになった。しかし今日では、葬式の野辺送りなどに親しい者が用いているに過ぎない。
「編み笠を被る鳥追い女」 豊国画