「松沢病院(まつざわびょういん)」の始まり
日本における最も代表的な精神病院として知られている松沢病院は、明治12年(1879)2月に東京癲狂院(てんきょういん)として下谷の上野公園に設けられ、ここに精神病患者58人を収容したのが始まりである。次いで、翌年5月には国立から公立になって小石川区駕籠町に移って巣鴨病院と呼んでいたが、さらに大正8年(1919)10月3日に世田谷区松沢町に移って松沢病院と名付けられた。これは62,590坪の広い敷地に98病舎が並び、定員は875人であるが、1,020人が入院し、特殊な治療器には脳波描記装置や電撃療法機械などが備えられた。