「桃酒(ももざけ)」の始まり
伝説によると、支那の武陵の桃花が水に流れているのを掬って飲んだところ、たちまち気力が旺盛になって齢(よわい)三百歳に及んだという故事から、和漢ともに古くから用いられ、桃酒は病を除き、顔色を麗しくするとある。ただし、酒に浮かべる花びらは単弁に限り、複弁のものは苦いとされている。しかし、近世になって用いるものは少なく、その製法も自然に忘れられていたが、明治29年(1896)3月になり、台湾新竹で芭蕉酒の製法を会得した米原歌喜知が、それを応用して大正元年(1912)9月に、広島県賀茂郡竹原町において桃酒の製造を行ったのが始まりである。
桃酒
画像の出典:株式会社石川酒販