「最中(もなか)」の始まり
最中は饅頭のように舶来物ではなく、日本で生まれた純粋な和菓子の一つである。長持ちをして味も変わらず、いつの間にか菓子の王座に座っている。
この最中の名前の起源は『拾遺和歌集』巻3秋171の、源順の歌「池の面(おも)に照る月なみをかぞふれば今宵ぞ秋のもなかなりけり」から出たものである。
江戸時代に吉原遊郭の三浦屋四郎左衛門抱えの名花・高尾が四角の最中を作り、客をもてなしたところ、客が「菓子の名は?」と問うたので、高尾は即座に「窓の月」と答えたという。なるほど、行燈(あんどん)の灯にかざしてみると、白い四角の皮の中に、うっすらと円い餡が透いて見え、まことに窓の月にふさわしい感じが良く出ていた。それから「窓の月」と言う方が最中の名よりひとしお優美なので、一時はその名が盛んに用いられた。
喜最中(横浜市 喜月堂)
画像の出典:ウィキペディア