$ 0 0 「禁酒薬(きんしゅやく)」の始まり 江戸時代末期の文政年間に、江戸日本橋に酒禁丸という便利な薬を売り出した店があった。その広告によると「それ酒は養寿の奇品といへども、多く喫するときは気を慓失し、行を敗り心を乱し、はなはだしきは家邦を喪す、軽ければ病を致し命を隕す、故に長寿は下戸に多し、慎むべし、さて此の薬を用ゆるときは、胸中の酒癖をさる故に、上戸といえども酒を飲まんとするの心、疎くなりて自然と下戸になる也」と言うすこぶる重宝な薬であった。しかし、どのくらい効果があったかはさっぱり判らない。