「訓点(くんてん)」の始まり
漢文を訓読する時に、漢字の上や廻りに書き加えられた符号や送り仮名などを訓点という。その始まりは応神天皇の85年(285)2月に王仁が初めて漢籍(漢文で書いた支那の書物)を日本に伝えた時からと言われている。
『訓点復古』に「往昔応神天皇の太子莵道若郎子王(うじのわかいらつこのきみ)、百済国の博士阿直岐および王仁らを師として、漢籍を学びたもうに、その授るところ、あるいは音に叫びあるいは訓に読みて、彼此の意義を通ず、其テニオハを記得せんがために、袁古刀(おこと)点と云うものをつくり、文字の四隅上下に、四声圏発の如く、種々の朱点をほどこして、テニオハの符として読みたもうに、当時文籍初めて渡りしことなれば、仮名という者あるべくもあらず、記誦することの難しさに、斯る式をばつくり設けたまいにけん、嗚呼我が先王の此学に心を凝らしたまいしこと此の如し」とある。