「ミシン」の始まり
織物や革を縫い合わせる裁縫機械のことである。日本では江戸時代末期の万延元年(1860)に遣米使節の新見正興に随行した中浜万次郎が、帰国する際に裁縫ミシンを携えてきたのが始まりとされている。
その後、慶応4年(1868)2月の『中外新聞』に、開成所の遠藤辰三郎という人が「右器械はシウインマシネと名づくる精巧簡便の品にて、近年舶来ありといえども、用法いまだ世に弘らず、よって去年官命をこおむり、横浜において外国人より教授を受け、尚また海内利益のために、伝習相始め候間、望の御方は開成所へ御尋ねなさるべく候、ついては伝習のついで、何んにても注文しだい廉価にて仕立物致すべく候」と広告を出しているのが記録上の始まりとされている。シウインマシネは英語のsewing machine(裁縫機械)のことで、機械の「マシーン」が「ミシン」に転訛したものである。