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Channel: 原始人の見聞
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「夫婦契約証書(ふうふけいやくしょうしょ)」の始まり

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「夫婦契約証書(ふうふけいやくしょうしょ)」の始まり
 明治維新後の日本は、なにもかも文明開化で過去のものは全て封建時代の遺物として葬り去られ、結婚もそれまでのような堅苦しい小笠原流で行うよりも西洋式のさっぱりと手軽に行われるようになった。また、男女同権の趣旨によって対等の権利を認めた夫婦契約書なるものを、結婚当日に交換するモダンな紳士も現れて、旧態依然たる頑固な連中をまごつかせた。すなわち、明治7年(1875)12月の『新聞雑誌』244号に「此のごろ米国紐育克(ニューヨーク)領事館富田銕之助(てつのすけ)婚姻の礼をおこなひ、夫婦契約の証書をつくり、その書は妻の許にあづかりおくこととさだめたるよし」とあり、その内容は「婚姻契約、一、男女交契両身一体の新生に入るは、上帝の意にして、人は此意にしたがって幸福を享(うく)るものなり。一、此一体のうちにおいて、女は男をもって天となし、男は女をもって地となす。一、夫は余念なく妻を礼愛してこれを志保するの義をつとめ、妻は余念なく夫を敬愛してこれを扶助するの義をおこなふべし。右にのべたるところの理(ことわり)にもとづき、当日すなわち二千五百三十四年某月某日、富田銕之助と杉田阿縫(おぬい)と互に婚姻を契約し、各自ら姓名をここにしるし、その実をあらわしてこれを誓ふものなり」とし、証人、行礼人、新夫婦の署名したものが載せられている。

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