「韮山笠(にらやまがさ)」の始まり
江戸時代末期に、かの有名な伊豆国韮山の江川太郎左衛門(英龍)が創意した一種の軍帽である。これは編笠に似た形をし、紙撚(かみこより)で編み、それに漆をかけたもので、兜がすたって洋式の軍帽に移る過渡期の軍帽である。すなわち『武江年表』のなかに「文久三年(1863)12月薮潜(やぶくぐり)と号し紙撚をもって編みたる陣笠出で武家これを冠(かぶ)る」とあるのは、この韮山笠のことである。
日本の陸海軍において、初めはこの韮山笠を被ったものと言われているが、明らかではない。しかし、明治元年(1868)4月の上野の戦争では、官軍が韮山笠を使用したのは事実であって、その笠の後に長い毛をたらしていたのは、後から刀剣で切り付けられた時の防御策であったという。
韮山笠
画像の出典:三島市