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Channel: 原始人の見聞
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「浪人(ろうにん)」の語源

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「浪人(ろうにん)」の語源
 この言葉は時代によって多少の違いがある。
 平安時代までは戸籍に漏れて他国を流浪し、公民としての資格がない者を意味していた。江戸時代後期に大石千引が書いた『野乃舎随筆(ののやずいひつ)』に「浪人という名目は上古よりあり、天智天皇の朝に浮浪人、桓武天皇の朝に浪人云々、これを“うかれびと”と読めり」とある。
 鎌倉時代になると武家の盛衰や興亡に際して、主君を失い所領や家禄を離れた武士の呼び名となり、それまでの百姓農民の浮浪人は浪人と区別するために逃散(ちょうさん)とか無宿などと呼ばれた。
 室町時代には「牢人」と書かれたが、これではまるで牢屋に入った人のようであるし、「牢人は字さえ浅まし穴冠(あなかんむり)、牛か午(うま)と人に言われて」の歌にあるように、イメージが良くなかったため、やがて「浪人」の文字になったが、それは江戸時代中期以降である。
 江戸時代には、無職の武士の他に、武芸の修行のために諸国を巡歴する者も浪人と言うようになった。
 明治時代からは武士は居なくなったが浪人は消えず、官庁や会社の都合によって首になった者、入学試験に落ちた受験生などの呼び名として定着している。

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