「火燵(こたつ)」の始まり
寒くなると恋しくなるのが火燵であり、これに艶めかしい色模様の掛布団でも掛けてある時は、何となく部屋の空気までが明るく暖かく嬉しいものである。
この火燵は行火(あんか)、火闥(こたつ)とも言う。『骨董集』に「火燵といふものは、近古(中世)にできたるものなり、火燵の無かった以前は、物に尻かけて火鉢にて足を煖(あたり)たるよし」とあり、また『下学集』や『饅頭屋節用集』などを参照して、室町時代末期に出来た物であろうと記している。
なお、火燵を使い始めるのは、神無月の中の亥の日が良いというので、たいていは、その日に火を入れ始めたもので、近松門左衛門の『心中天綱島』のなかにも「十月中の亥の子に炬燵(こたつ)あけた祝儀とて」と言うことが書いてある。
炬燵の屁 猫もあきれて 顔を出し (江戸・文化年間)
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