「荒事狂言(あらごときょうげん)」の始まり
超人的な怪力勇猛な武人、または物凄く恐ろしげな鬼神怨霊などが出てくる芝居のことを言う。その起源は、江戸時代中期の元禄期に、元祖市川団十郎が14歳の時に初めて中村座の舞台に出て、「四天王稚児立」の坂田金時に扮して紅と黒とで顔を隈取り、大形の童子格子の着付けに丸ぐけ帯、斧を下げて大江山の場にあらわれ、狩人を相手に立ち回りを行ったのが、いわゆる荒事という芸風の始まりである。その演技について二代目団十郎(柏莚:はくえん)は「荒事は七八つの子供の真似をする心で行く、侠者の真似は下司(げす)ばる」と言い、また「真っ直ぐ舞台の正面を向くと荒事は弱く見える。筋違いに三角に構えれば大丈夫になる。足はとにかく投げ出すがいい。角前髪の荒事は娘の酒に酔いたる気持ちにて演(や)るのがいい」と言っている。
荒事の代表作「暫(しばらく)」
画像の出典:ブログ・かまわぬ